2014年6月28日土曜日

Sanctions as honest signals - The evolution of pool punishment by public sanctioning institutions

「すぐ読む論文」フォルダの古いファイルがずいぶん前の日付だ。
シグナリングとプールパニッシュとな。面白そうなので読む。

Schoenmakers, S., Hilbe, C., Blasius, B., & Traulsen, A. (2014). Sanctions as honest signals - The evolution of pool punishment by public sanctioning institutions. Journal of Theoretical Biology, 356C, 36–46. doi:10.1016/j.jtbi.2014.04.019

プールパニッシュありのPGG。Lonerもあり。

[戦略]
L:参加しない
D:taxもPGも貢献しない
C:PGのみ貢献(taxは払わない)
P:両方払う
O:tax払わない。もし誰かがtaxを払ってたらPGには払う

[モデル]
1.ゲームへの参加(Lかそれ以外にわかれる)
2.tax(懲罰のための原資)を払うかどうか
3.公共財に投資するかどうか(O戦略はこの段階でtaxがゼロなら投資しない)

各戦略の期待利得をガッと数式で記述してESSを求めてる。
純粋戦略にESSは存在しなくて、サイクルするよ。

そのあとシミュレーションをやってる。進化モデルはGAじゃない。
ランダムに選択されたiとjでi→jに戦略が移る確率をP_ij=1/(1+exp[-s(πj-πi)] であらわす。
s=0でPij=1/2, s->∞で利得が高いほうに確実に変化。
そっか、こういうやり方もあるのか。

結果:S=0.01ではサイクリック、S=100ではO戦略が支配。

Sを10^(-4) -> 10^2 まで動かして人口比率を見ると、S=1のあたりでO=0.7,P=0.2,D=0.1くらいの共存状態に収斂する。

モデルを拡張する。

1.taxを払うコストをいじる。ここまでのモデルはボランティアジレンマの構造(誰かひとりがtax払えばよい)だけど、これをtax払った人の頭割りにしよう。
2.2次の懲罰をいれよう
3.taxで作られた懲罰システムの存在が全員に確実にわかる前提をくずして不完全情報にしよう。

[結論]
taxをシグナルする仕組みがなければ、2次懲罰&L戦略じゃないとPool Punishは機能しない。
でもシグナルがあれば、Pool Punishはうまくいく(パラメータ次第だけど)。

「ESS→シミュレーション→拡張」の流れがなるほどJTB論文。
あと、進化のやり方はうまいね。取り入れてみようか。結果にどの程度影響するんだろう。

2014年6月27日金曜日

An agent based model for studying optimal tax collection policy using experimental data: The cases of Chile and Italy

エージェントシミュレーションで税制度を検討とは面白そう。
だけど今一つぽい。でも読む。

Garrido, N., & Mittone, L. (2013). An agent based model for studying optimal tax collection policy using experimental data: The cases of Chile and Italy. The Journal of Socio-Economics, 42, 24–30. doi:10.1016/j.socec.2012.11.002

チリとイタリアをケースとして税の最適な聴取戦略をみつけるよ。
実際には、政府エージェント(1つ)が期間中にN人のエージェントを監査するとして、最適な監査戦略(どの程度監査するか)を見る。
結果、収入の偏りが大きくなるほど、金持ちと過去のBCE(脱税者?)に注力するとよい。
チリとイタリアのケースがどうなってるんだろう。具体的なデータが出てない。

よくわからなかった。ただあまり面白くない。

2014年6月25日水曜日

抑制、表出、反芻傾向と感情プライミング効果の関係

ゼミで学生が持ってきた。原著論文を持ってくるとは感心。ざっと読む。


及川昌典, & 及川晴. (2013). 抑制、表出、反芻傾向と感情プライミング効果の関係. 社会心理学研究, 29(1), 40–46.

感情プライム、感情表出による感情プライムの消失、個人の反芻傾向による感情プライム効果の持続の研究。

1.ポジ/ネガな印象の画像を見せて、そのあとに意味のない図形(実際には文字)を見せて印象を評価させる。絵の印象は無視しろと伝える。
2.ポジ/ネガな印象の画像を見せて、その印象を評価した後に、無意味図形の評価をさせる
3.質問紙で、反芻傾向(過去の経験をくよくよ思い出す指標)の高/低でグループを2分して、1,2の実験結果を比較
1.両群とも、事前に見せた絵の印象を無視しろと言われても、プライム効果がでてしまう。
2.でも、絵の評価を下した後では(感情を表出したあとでは)反芻傾向が低い群ではプライム効果が消える。
3.ただし、高い群ではネガティブなのプライムに関して、プライム効果が残る

過去のことをクヨクヨと思い出しやすい(反芻傾向が高い)人はネガティブな印象を払しょくできない。
ただし、過去を反省するタイプ(省察傾向の高い人)は測ってないから今後の課題。

2014年6月24日火曜日

Evolution of direct and indirect reciprocity


有名な論文なのにずっと放置してた。簡単に読む。

Roberts, G. (2008). Evolution of direct and indirect reciprocity. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 275(1631), 173–179. doi:10.1098/rspb.2007.1134

Givingゲーム。
スコア(間接互恵)を使う戦略と経験(直接互恵)を使う戦略を用意。
相手のスコア(-1,0,1)を閾値として IR[x]で表現(xが閾値)。要するにイメージスコアリング。
DR[x]は過去に直接対戦した相手に対するスコア。TFTなどを表現。

モデルはIlandで構築するよ。
10%のphenotypic defectorを導入。

結論:一回しか会わない環境ではIRのほうが有意だけど、再会するならDRのほうがいい。