2014年7月8日火曜日

Making sense of information in noisy networks: human communication, gossip, and distortion

JTBで情報拡散とABMが載ってる。しかも情報の多数派採用の効用とかを調べるのか。これは面白そうなので読む。

Laidre, M. E., Lamb, A., Shultz, S., & Olsen, M. (2013). Making sense of information in noisy networks: human communication, gossip, and distortion. Journal of Theoretical Biology, 317, 152–60. doi:10.1016/j.jtbi.2012.09.009

ノイジーな噂がネットワーク上に流れているとして、どんなシンプルな意思決定ルールが成功するかABMでやるよ。「Bit-wise mode」戦略が一番好成績で、それは、情報の各ビットのマジョリティを選ぶ戦略です。

モデル:エージェントは150、ネットワークはランダム、スモールワールド、スケールフリー。150というのは人間のコミュニケーションサイズとしては妥当な近似なのだよ。

エージェントはメッセージを発信してそれが伝播する。受け取ったメッセージを送り手に返すということはしない。ちなみにメッセージは、0/1のビット列(長さ20)でやる。なぜかっつーと長さ色々かえたけど結果はかわらなかったから。ランダムに選んだいくつかのエージェントが起点となって情報の伝播開始。繋がってるエージェントに連続して伝播していき、拡散する相手がいなくなった時点で終了。大体5.5stepで拡散完了している。

Distorterは情報を流す時にビットを反転させる。反転させるビット数、Distorterの数はシミュレーションによっていろいろ考える。後述するので待て。

AgentがNoisyな環境でどのようにメッセージを信用するかには3つの戦略を考える。
Standard:メッセージ全体のマジョリティを信じる
Bit-wise:各ビットの最頻値を採用する
Random:どれか一つのメッセージをランダムに信じる

Memoryに関して。モデルでは異なるタイプステップにメッセージが発信される。だから何度もメッセージを受け取ることになるんだが、完全記憶(受け取ったものをすべて覚えておく)、限定記憶(前回受け取ったものだけを覚えていられる)の2パターン用意する。

Fitnessは、エージェントが信じたメッセージと真実メッセージの一致度。100回のreplicationをやってネットワークやDistorterの位置などは全部異なる。論文と関係ないけど、シミュレーションの乱数変えた繰り返しはreplicationが一番よく使われてるような。JTB系なのか、これが世界の流れなのか。

1)Small-Worldで(Deg=7,β=0.5(張り替え率?書いてない))、Start Observer=5で、Distorterの数を0-150で動かす。エージェントの戦略は均一(Rndom/Standard/Bit-wiseのどれか)。Distorterが増えればFitnessは下がるけど、Bit-Wiseモデルが一番優秀。ちなみにDistorterのビットの乱し方はいろいろやったけど結果はほとんど一緒。

2)Bit-wise + (Standard or Random)で人口比率を変えてみても、やっぱりBit-Wiseが優秀。しかもStandard+RandomだとDistorterの数によらず変化なしかつ両者のFitnessが等しい。

3)Observerの数が多いほど、次数が高いほど、Bit-wise戦略のFitnessは向上する。

Bit-wiseの勝利は、利用可能な情報源の数が多くなるからだ、とか色々と言葉で説明。

戦略のコントロール(2者の存在比を変えて3つの組み合わせでやるとか)が結構雑な気がする。あと戦略ごとのFitnessを計算してるのに進化シミュレーションにもしていないし。結果を導くメカニズムもあまり詳細に検討されてないような。

とはいえ、情報伝播をABMでやったよというのがJTBに載るのを知れてよかった。あと結構使えそうな材料は詰まった感じの論文だったのであたりだ。

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