2017年5月27日土曜日

Gratitude and Prosocial Behavior

Pay-it-forward祭りその1。2くらいで終わりそうだけど。実験ではPay-it-forwardが存在することが示されているという文脈で多くの論文に引用されているキー論文ぽい。Google Scholarで705件の引用。いいなぁ、そういう論文を書いてみたいものだ。

Bartlett, M. Y. & DeSteno, D. Gratitude and Prosocial Behavior. Psychol. Sci. 17, 319–325 (2006).

感謝が向社会行動を形作ると。これまでの研究でも感謝が向社会行動を増加させることは報告されているけど、媒介要因としての効果はちゃんとわかっていないからビシっと実験で示しましょう。

【実験1】
被験者は2人一組にされるけど実は一方はサクラです。いろんな作業をやった後(この作業もどうでもいい)に3つのコンディションを作る。

  • 感謝:被験者のモニタが突如映らなくなって困るけど、実際にはサクラがコードを引き抜いている。実験者が呼ばれて、最初からやり直しだねというんだけどサクラはエラーの原因を探す。するとサクラはコードが緩んでいることに気づいて問題を解決する。被験者はやり直さなくてもよくなる。
  • 娯楽:作業が終わった後に娯楽作品(Saturday Night Live)を見る。サクラは楽しかったねーと盛り上がる。実験者はビデオを見せたことを正当化するために作品内で出た単語とかを質問する。
  • 中立:作業が終わった後にサクラと被験者で、これなんの実験なんだろうねぇとか話す。

これらがおわったら感情評定を行う。もろもろが終わった後に、サクラがおもむろに被験者に近づいて手伝ってほしい(30-60分くらいのサーベイ)と申し出る。メインの従属変数はどの程度の時間手伝ったか。拒否ったら0分。

結果いきます。感謝を媒介変数にする媒介分析します。予想どおりに感謝を媒介して援助行動(手伝う時間の長さ)が増加している。

【実験2】
もし感謝が援助行動を決めるのであれば、感謝条件の人は、恩人も他人も区別なく助けるだろうし、互恵性規範が原因なら他人(何の助けもしてないひと)には中立条件と変わらない程度しか助けないでしょう。ということで実験1の2条件(感謝・中立)に加えて最後に助けを求める人をBenefactorとStrangerにして実験します。えーと中立のBenefactorて誰だ?サクラのことか?まあそう理解しよう。

結果。援助要請者の主効果ばっちり有意(条件によらずBenefactorに高い援助を与える)、条件の主効果もバッチリ有意(相手に寄らず感謝条件で高い援助)。交互作用はなし。つまりは互恵性じゃなくて感謝がやっぱり有効だ。

【実験3】
実験2の効果をさらに検証するために、Strangerであることを明確にする(実験者がこの人は実験のパートナーだったっけ?と聞く)条件を追加。結果。やっぱり感謝条件なら助けている。

これらの実験を通じて感謝が向社会行動の強い証拠になっていることをみつけたぞ。うんぬうかんぬん。

これ、Pay-It-Forwardの証拠にしていいのか・・・?感謝によって互恵的な相手以外にもコストをかけて助けているからPIF的とはいえるのかあ。確かに受けた恩に対する感謝が生起すれば、他者に対して助けているんだからPIFといえるけど。

例えば、恩を受けるけど恩人は別に報酬を受け取っていて感謝する必要がない状況でもPIFは生じるか、とか。あ、もしかして面白い?けどこの実験状況つくるの超大変だ。

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